歯周疾患の原因は細菌であることは疑いがないが、その主役を演じている微生物についてはまだ完全な同定がなされていない。また、臨床的健康歯肉から歯周炎に至る過程の中で局所の微生物叢も変化する。
歯肉縁下は嫌気的条件下であり、また空間的にも狭いため歯肉縁上よりも菌数は少ない。
歯周炎の初期はグラム陽性菌が主体であるが、進行するにつれて糸状菌が出現し、更にらせん菌と運動性のあるスピロヘータも現れる。グラム陰性嫌気性桿菌が増加する。
歯周治療でプラークコントロールが成功すると菌数は減少する。
唾液 [編集]
唾液の細菌叢は、実際には歯や舌、口腔粘膜などの表面の細菌叢を反映したものとなっており、唾液に固有の細菌叢とはいい難い。なぜなら、唾液は液体であり、絶えず分泌と嚥下が繰り返されているので固有の細菌叢が育成し難いためである。また、唾液は、分泌直後は無菌状態である。
個体差では、幼児期の唾液細菌叢は好気性ないし通性嫌気性の菌が多く、偏性嫌気性の菌は歯の萌出によって歯肉溝が形成されると出現する。加齢と共に免疫能が低下したり、口腔であれば歯の喪失や義歯の装着などによって、日和見感染の病原菌や嫌気性菌が増殖したりすることがある。
起床直後の唾液細菌叢は多いとされ、食事直後では細菌数は少ないと言われている。
歯肉溝は嫌気的状態であり、有歯顎の口腔では唾液中に偏性嫌気性菌が検出される。
唾液に限らず、口腔で最も優勢な菌はレンサ球菌である。
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歯垢 [編集]
歯垢(プラーク)は、歯の表面に固着した細菌およびその産物の集合体であり、構成要素下記の通りである。
70〜80%:水
20〜30%:固有物(そのうち、70%が細菌で30%が細菌由来の基質)
歯垢を構成する菌は多種類で、成熟度によって異なる。
初期:大多数の球菌と少数の桿菌であり、糸状菌は極めて少ない。つまり、歯垢形成には球菌の付着によって始まる。
中期:球菌桿菌の占める割合が低下し、糸状菌が増加する。
後期:運動性を持つビブリオやスピロヘータの数が増してくる。
歯肉縁上の歯垢には好気性菌が多い。
なお、歯垢は咀嚼や固い食べ物を摂取することにより歯垢が除去され歯垢量が減少する。
口腔微生物と全身疾患の関係 [編集]
近年の研究では、口腔微生物と全身疾患の関連性の研究が盛んに行われており、数多くの研究報告がなされている。ただ完全に関連性が解明されている分野でもないため、今後の研究の成果が待たれる。また、歯学部生の中にも元々医学志望(口腔領域以外)であったり、齲蝕などの硬組織疾患以外の歯科専門領域に進みたい学生にとっては興味関心の高い分野であり、口腔細菌学の中で特に学びたい領域とされている。[1]
下記に関連性のある疾患を挙げる。
細菌性肺炎
そもそも肺炎とは肺で起こる炎症の総称を指し、主として微生物により起因する。細菌性肺炎は、歯周病の原因と考えられている嫌気性菌が関与している。
細菌性心内膜炎
糖尿病
関節炎
糸球体腎炎
皮膚炎
骨粗鬆症
肥満
妊娠・出産障害
循環障害
バージャー病
2005年7月、東京医科歯科大学医学部血管外科および歯学部歯周病学の共同グループが歯周病菌が難病のバージャー病との関連性をアメリカの血管外科専門雑誌に報告した